工場の作業員が勤務中にアスベストにばく露し国に損害賠償を求めた事例

判決
大阪地方裁判所令和元年10月4日
判決で認められた額
2,530万円
(および、原告Aさんには平成20年11月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金、原告Bさんには平成27年2月17日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金)

※集団訴訟の場合は、全ての原告の認容合計額を記載しています。

概要

この事件は、アスベスト(石綿)製品を製造・加工する工場で働いていた原告のAさんとBさんが、アスベストに関する安全対策規制が不十分だったために肺がんになったとして、国に対して損害賠償を求める訴訟です。

原告らは、仕事中にアスベストの粉じんを吸い込み続けた結果、肺がんにかかってしまいました。
そのため原告らは、アスベストの使用について規制する権限を持つ国の公務員が、適切な安全対策を講じなかったことでアスベストの粉じんが広がり、その結果病気になったと主張しています。

裁判のポイント

国家賠償法に基づく責任

  • 過去の判例(平成26年の最高裁判決)を踏まえ、国は原告らに対する責任と損害額(慰謝料1,150万円と弁護士費用115万円)を争っていない。

遅延損害金の起算点

  • 被告の主張:大阪高裁判決(平成25年12月25日判決)の射程は本件にも及び、本件の遅延損害金の起算点は原告それぞれに労災認定がされた日とすべき
  • 原告の主張:損害の発生と同時に遅延損害金が発生するとし、肺がんにり患した時点が起算点であり、大阪高裁判決の判示は石綿肺(じん肺)に特有のものであるため、肺がんのケースには適用されない

裁判所の判断

裁判所は、原告AさんとBさんの請求を認めました。
被告である国がアスベストの危険性を認識しながらも、適切な規制を怠ったことが原因で原告らが病気になったことは当事者双方に争いがありませんでした。
そして、裁判所は、争点であった遅延損害金の起算点について、肺がんの確定診断日を基準としました。

※本ページで紹介している事例は、当事務所が実際に対応したものではありません。

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